丹沢山の糸車の娘と鉄砲撃ち長七
どんな伝承か
足柄上郡三保に、実際にあったこととして伝わる話。鉄砲撃ちの長七は弾を六十発持って一人で丹沢山へ入り、日が暮れたので大岩の下で大きな火を焚いて眠ろうとした。すると火の向こうの闇に灯のともった行灯と糸車が現れ、美しい着物の娘が座って糸を紡ぎはじめた。人を食う化物だと悟って撃っても、娘は笑うばかりだった。最後の一発を行灯に撃つと真っ暗になり、翌朝血の跡を追うと、岩穴に人骨が積まれ、奥で白い毛のムジナが死んでいたという。
原典より
そして奥にはこと切れた毛の白いムジナが横たわっていた。—— 神奈川県の歴史 県史講座要録――伝説と昔話(中村亮雄(「伝説と昔話」)・神奈川県の歴史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川県の歴史 県史講座要録――伝説と昔話(中村亮雄(「伝説と昔話」)・神奈川県の歴史)
『神奈川県の歴史 県史講座要録――伝説と昔話』は、県史講座要録の県下の民俗篇に収められた、中村亮雄の「伝説と昔話」である。柳田国男の白米城伝説の研究を手がかりに、三浦半島の二反ヶ城、鶴見の見返し坂、湯河原の石橋山合戦の伝承など県内の伝説を取り上げる。昔話は本格昔話と派生昔話(化物譚・笑話・動物昔話)に分け、藤沢・津久井・平塚などの類話を並べて世間話にも触れる。「はじめに」「伝説」「昔話」「あとがき」の四節からなる。