芳姫と星野の人々
どんな伝承か
小山義政が小山を捨てて粕尾にこもったとき、城を抜け出していた奥方は侍女一人を連れて旅の女に身をやつし、星野の里まで来て日暮れを迎えた。事情を察した農夫が翌朝の道案内を約束して家に泊め、奥方は礼に金を与えた。ところが男は、二人が大事そうに持つ袋にも宝があると思い込んだのか、翌朝馬を引いて寒沢まで来たところで鎌で二人を殺した。男は村人に罪を打ち明けて二人をその場に葬ったが、以後白蛇がつきまとい一家は絶えたという。その地には茎から血のような汁の出る草が生え、奥方の名にちなんでよしくさと呼ばれた。主従の墓は今も星野にまつられている。
原典より
その後この地に、これまでみたこともない草が生え、その茎を傷つけると血のように赤い液を出すので、奥方の名「よし」になぞらえて「よしくさ」と名づけたという。—— 栃木市史 民俗編――伝説・民話(栃木市(編)・栃木市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
栃木市史 民俗編――伝説・民話(栃木市(編)・栃木市史)
『栃木市史 民俗編――伝説・民話』は、市史民俗編の第九章「言語伝承」のうち「伝説・民話」と「木遣り」の二節である。芝塚山の太刀割り石、有馬皇子とこのしろ、源義家や弘法大師にまつわる地名伝説、狐の嫁入りやむじなの怪、あづきっとぎなど、市内に伝わる伝説・民話と昔の子供の思い出を収める。前半の十一話には末尾に原話者(一部は採話者も)の名を記し、節の終わりに鳶の木遣りと田歌の詞章を載せる。