背中に文字ある再生児
どんな伝承か
美濃国の山田大助という人からの報告である。美濃国本巣郡北方村九番地の飯沼常七という人の次男萬治が、本年二月に初めて生まれたが、その背中には「谷口治兵衛」の五字が記されていた。そのため、この子は再生児、すなわち谷口治兵衛の生まれ変わりだという人があったという。この一件は新聞にも掲載された。円了は、身体に前生のしるしを帯びて生まれるとされる「再生」の報告を各地から集めており、本条もその一例として書きとめられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
井上円了 妖怪学講義(井上円了(平野威馬雄 編著)・井上円了・妖怪学・明治(原著)・現代(編))
哲学者・井上円了(妖怪博士)の畢生の大著『妖怪学講義』を、平野威馬雄が編んだ普及版。円了は真の宗教信仰の障害となる迷信を打破するため、あらゆる妖しきものの正体究明に一身を捧げ、妖怪を物怪・心怪・理怪に大別し、物怪心怪を仮怪(説明可能な迷信)、理怪のみを真怪とした。本書は理学・心理学・宗教学・雑の各部門から具体例を抄録する。序ではコックリ(狐狗狸)を西洋のテーブルターニング由来の無意識筋肉運動と解明。