寒水石を持ち去る者を打つ真弓山の天狗
どんな伝承か
真弓山では寒水石が掘られているが、昔はその採掘が禁じられていたという。この大理石が欲しくてたまらなかった近くの農夫が、こっそり掘って家に持ち帰ると、山中にすむ天狗が夜中に大きな石でその家を打ち壊そうとした。驚いた農夫がすぐ石を山へ返して過ちを悔いると、天狗の起こす地響きはやんだ。また木樵が山で斧をふるうと、決まって天狗が現れてさまざまに邪魔をしたという。天狗は木や石を深く愛し、山から持ち出されるのをひどく嫌ったと伝えられる。
原典より
すると、真弓山中に住んでいる天狗が夜半に大きな石で、その家を打ちこわそうとした。—— 常陸太田市史 民俗編――伝説(常陸太田市(編)・常陸太田市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
常陸太田市史 民俗編――伝説(常陸太田市(編)・常陸太田市史)
『常陸太田市史 民俗編――伝説』は、常陸太田市の市史民俗編のうち、第五章「ことばの伝承」の伝説と昔ばなしの部分である。第一節「伝説」は市域の伝説を自然的伝説・社会的伝説・歴史的人物伝説・信仰的伝説の四つに分け、国見山・赤沼・源太郎狐・十王坂・舞鶴城・義家・親鸞・徳川光圀・真弓山の天狗などの話を記す。社会的伝説には地名のいわれや塚・城跡の伝承が多く、第二節「昔ばなし」は冒頭の三話だけを収める。