堀の主となった小蛇と御吉事の雨
どんな伝承か
佐竹氏が舞鶴城を築いたのち、蛇を好む殿様がいて、御殿で小さな蛇を飼っていた。女中たちが嫌がるため家来に捨てさせたが、家来は手間を惜しんで城のすぐそばの堀へ放った。やがて小蛇が殿様の夢に現れ、堀の主に邪魔されて居られないと訴えた。殿様は蛇を連れ戻させ、頭に八幡宮の御守を結んで再び堀に放した。すると蛇はまた夢に出て、前の主が去り自分が主になれたと礼を述べ、日照りの折に自分を思い出して雨乞いをすれば力を尽くすと約束した。以来、その堀に供え物をして雨を乞うと不思議に雨が降り、城下の人々は「御吉事の雨」と呼んで喜んだという。
原典より
それ以来日照りのとき、その小蛇のいた堀に、供え物をして雨乞いをすると、不思議と雨があったので、だれ言うとなく「御吉事の雨」といって、城下の人々は喜んだという。—— 常陸太田市史 民俗編――伝説(常陸太田市(編)・常陸太田市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
常陸太田市史 民俗編――伝説(常陸太田市(編)・常陸太田市史)
『常陸太田市史 民俗編――伝説』は、常陸太田市の市史民俗編のうち、第五章「ことばの伝承」の伝説と昔ばなしの部分である。第一節「伝説」は市域の伝説を自然的伝説・社会的伝説・歴史的人物伝説・信仰的伝説の四つに分け、国見山・赤沼・源太郎狐・十王坂・舞鶴城・義家・親鸞・徳川光圀・真弓山の天狗などの話を記す。社会的伝説には地名のいわれや塚・城跡の伝承が多く、第二節「昔ばなし」は冒頭の三話だけを収める。