寿松院の門扉を飛ばした田渡風
どんな伝承か
昔、台風の大風で田渡村の寿松院の門扉が白羽の間沢まで吹き飛ばされたが、蜘蛛の巣に引っかかって壊れずに済んだ。持ち帰った一枚は今も山門の脇に残されているが、もう一枚は行方が知れなくなった。田渡町や西宮町ではこの風を田渡風と呼び、大風の日には年寄りが炉端で孫にその恐ろしさを語り、家の者に用心を促した。風が荒れ狂ったのは旧暦八月二十日のことで、田渡や西宮ではこの日に赤飯とかやの箸を膳に供え、同じような台風が来ないよう祈ったという。
原典より
むかし、大風(台風)のために田渡村寿松院の門扉が白羽の間沢まで吹き飛ばされたが、蜘蛛の巣にひっかかって幸いこわれずにすんだ。—— 常陸太田市史 民俗編――伝説(常陸太田市(編)・常陸太田市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
常陸太田市史 民俗編――伝説(常陸太田市(編)・常陸太田市史)
『常陸太田市史 民俗編――伝説』は、常陸太田市の市史民俗編のうち、第五章「ことばの伝承」の伝説と昔ばなしの部分である。第一節「伝説」は市域の伝説を自然的伝説・社会的伝説・歴史的人物伝説・信仰的伝説の四つに分け、国見山・赤沼・源太郎狐・十王坂・舞鶴城・義家・親鸞・徳川光圀・真弓山の天狗などの話を記す。社会的伝説には地名のいわれや塚・城跡の伝承が多く、第二節「昔ばなし」は冒頭の三話だけを収める。