歌をなぞる声とのっぺらぼうの顔
どんな伝承か
目も鼻も口もなく髪だけがある男の妖怪をずんべらぼうという。弘前に興兵衛という喉自慢の男がいた。隣村からの帰り、酒に酔って歌いながら夜の山道を越えていると、どこからか自分よりよい声で同じ歌を返してくる者がある。誰だと問えば、向こうも誰だと言いながら目の前に姿を現した。それがずんべらぼうであった。興兵衛は逃げ戻って隣村の知人に一部始終を語ったが、知人は眉をひそめ「その顔はこんな顔であったか」と顔を寄せる。それが同じ顔で、興兵衛はのけぞったまま息絶えた。
原典より
目鼻も口もなく、ただ髪だけつけた妖怪がいる。—— 暮しの中の妖怪たち(岩井宏実・岩井宏実・民俗学・昭和(現代民俗学)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
暮しの中の妖怪たち(岩井宏実・岩井宏実・民俗学・昭和(現代民俗学))
民俗学者・岩井宏実による妖怪事典『暮しの中の妖怪たち』。日本各地の妖怪を暮しの空間(山・海・道・家・屋敷)ごとに、約六十項目にわたり具体例とともに解説する。