大漁の日にこそ舟を清める漁師
どんな伝承か
社会人類学者の吉田禎吾が壱岐で聞き取った話。ぶりの一本釣りが盛んなある漁村の神主は、漁師が祝詞をあげてほしいと頼んでくるのは不漁のときではなく大漁のときだと語った。大漁の日は水揚げの多い舟が並ぶ一方で、なぜか自分の舟だけ魚が取れないことがある。舟も漁法も漁場も同じで腕にも差がないはずなのに自分だけ取れないと感じると、何か超自然の原因があるのではないかと考え、舟を清めてもらいたくなるのだという。性能のよい機関を積んだ舟でも進水式には必ず神主が儀式を行い、造船のときには船大工が帆柱の根元へ船霊様を納める。
原典より
長崎県の壱岐にある、ブリの一本釣りの盛んなある漁村の神主は、漁師が自分に祝詞をあげて欲しいと頼みにくるのは、不漁の時でなく、大漁の時であると私に語ってくれた。—— 呪術――その現代に生きる機能(吉田禎吾・吉田禎吾・社会人類学・昭和(1970)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
呪術――その現代に生きる機能(吉田禎吾・吉田禎吾・社会人類学・昭和(1970))
社会人類学者・吉田禎吾が、呪術を『現代に生きる機能』として分析した名著(1970年)。