八方にらみの猫
どんな伝承か
鼠は屋敷のどこにも棲み、夜、人が寝ているときに動いて米麦や豆を食い荒らす。鼠を捕ろうと家人が話し合うと、それが分かるのか、しばらくどこかへ行っているが、やがて戻ってきて荒らし出す。鼠は棲む家が火事になるときには、それを予知するように前もって姿を隠してしまうという。養蚕には大敵であったから、鼠除けの工夫がいろいろなされた。一升瓶にドジョウを入れて蚕室に置くと、瓶がレンズの役をしてドジョウが大蛇に見え、蛇は鼠を鵜呑みにするので、こわがって鼠が来なくなるという。また猫の絵を描いた紙を貼っておくとよいといい、なかでも岩松新田の殿様が描いた猫は、まるで生きているようで「八方にらみの猫」と呼ばれ珍重された。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
伊勢崎市史 民俗編――俗信と伝説(伊勢崎市(編)・伊勢崎市史・自治体史(民俗))
群馬県『伊勢崎市史 民俗編』所収の俗信と伝説。