鼠の火事予知とお口止めの札
どんな伝承か
鼠は家のどこにでも棲み、夜中に米や麦、豆を食い荒らす。家の者が退治の相談をすると、それを察したようにしばらく姿を消すが、やがて戻ってくるという。住む家が火事になる前には、前もっていなくなるとも言われた。養蚕の大敵でもあったため、鼠除けにはさまざまな工夫がされた。柴町の稲含様の札を蚕室に貼ったり、境町小此木の仙元宮で米を祈禱してもらい、札とともに持ち帰って「お口止め」をした。鼠の通り道に札を貼って米をまくと、それを食べた鼠の口がふさがり、蚕に手を出さなくなるといい、春蚕の前には欠かさず行ったという。
原典より
鼠はすむ家が火事になるときには、そのことを予知するように前もって姿をかくしてしまう。—— 伊勢崎市史 民俗編――俗信と伝説(伊勢崎市(編)・伊勢崎市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
伊勢崎市史 民俗編――俗信と伝説(伊勢崎市(編)・伊勢崎市史)
『伊勢崎市史 民俗編――俗信と伝説』は、伊勢崎市が編んだ市史民俗編のうち、俗信と伝説・昔話の節の抜粋である。オサキや水死体を知らせる鶏などの俗信と、赤城と日光の神戦、赤堀道玄の娘の入水、『神道集』の宮子の龍宮、義経や鎌倉権五郎にまつわる伝説を、『伊勢崎風土記』などの記録や土地の語りを引いて記す。伝説を赤城山・『神道集』・義経・権五郎・寺社・入定・城などの七類に分けて述べ、十二支由来などの昔話を続ける。