玄関先で車を降りた嫁の血の出ない傷
どんな伝承か
平成八年の夏、お盆のころの出来事である。宮ノ下という土地から嫁いできた女性が、夜更けに自分で車を運転して家へ帰り着いた。玄関の前に車を止めて降りようとし、足が地面に触れるか触れないかというその瞬間、足首にひどい痛みが走った。驚いてふと目をやると、肉が少し割れて切れていたのに、血は一滴も出ていなかったという。笹神村笹岡の女性が語った、かまいたちに遭った人の話である。
原典より
足が土に着いたか着かんその瞬間に、足首に激痛が走った。—— かまいたち談義(大竹信雄・高志路1998年8月号) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
かまいたち談義(大竹信雄・高志路1998年8月号)
『かまいたち談義』は、大竹信雄がかまいたちについて論じた民俗学の論考である。北蒲原郡笹神村と柏崎市・刈羽郡小国町で集めた、かまいたちにかかった体験九例を挙げ、辞書や『北越奇談』などの説明から構え太刀説・つむじ風説・真空説・筋肉の急な動きによる生理現象説を整理する。「はじめに」から「おわりに」まで六節に分け、体験例の共通点から境界性を論じ、妖怪かまいたちの性格と、『東遊記』や『北越奇談』に見える越後七不思議との関わりを考える。