赤羽駅の長い階段と墓場ネの空耳
どんな伝承か
埼玉から京浜東北線で新宿へ出るとき、最大の難所は乗り換え駅の赤羽だと語る人がいる。下りては上り、また下りるあの階段は、思い出すだけで出かける気が失せると母親も言うほどだった。それでも都内の病院に入院している知人を見舞うため、七十歳の母を連れて出かけた。百数十段の階段は年寄りの身にはこたえたらしく、赤羽線に乗り換えたあとも息を切らしていたが、口だけは達者で、駅員の声が、ハカバネ、墓場ネ、お降りの方が死んでからお乗り下さい、と聞こえたと言ったという。
原典より
自分の所から二十里ほどの後藤野の話。—— 現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和〜平成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和〜平成)
松谷みよ子『現代民話考 ― 偽汽車』を小話単位で全525話収録。汽車・船・自動車などの乗り物にまつわる現代の民話・怪談を全国から採集。狐狸が汽車に化ける偽汽車、船幽霊、タクシーに乗る幽霊などを地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明359話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。