竹島
どんな伝承か
五月の、むしむしする曇った夜のことだった。周防灘の竹島の沖を、ゴヘダ船で大阪へ向けて走っていた。夜の一時頃、十二時に交替して舵を握っていたが眠気に困っていた。ふと向こうを見ると汽船がやって来る。妙に船の姿がはっきりしており、こちらが少し向きを変えると相手も同じ方へ向ける。船幽霊だと思い、下手をすると岩へ乗り上げるので真っ直ぐ進むと消えた。安心しているとまた見える。構わなければ消えると思って正しい進路を行くと、まさに衝突という所でぱっと消え、それきりであった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和〜平成)
松谷みよ子『現代民話考 ― 偽汽車』を小話単位で全525話収録。汽車・船・自動車などの乗り物にまつわる現代の民話・怪談を全国から採集。狐狸が汽車に化ける偽汽車、船幽霊、タクシーに乗る幽霊などを地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明359話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。