戦死した息子の名を継ぐてつお桜
どんな伝承か
岩手県花巻市の話。昭和三〇年に戦死した息子を偲び、父は八重桜を一本植えた。一重の花の潔さを嫌い、華やかで花の時期の長い八重を選んだのだという。父は子の名を取ってこの木を「てつお桜」と呼び、慈しんで育て、近所の人たちに花の美しさを自慢していた。やがて父も母も世を去り、故郷の家は無人になったが、語り手はこの一本の木のためにいまも家を守り続けている。木が枯れるまで、そして自分が土に還るその日まで、と語る。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)