大正時代から昭和の初め頃の話
どんな伝承か
大正時代から昭和の初め頃の話。隣り合った部落で同じ日に祝言があり、両方に関係のある男が一軒の式をすませて隣部落の式へ向かった。紋付羽織で急いでいると、川の土手道で二、三人が前を行くので、追いついて一緒に行こうと声をかけた——覚えているのはそこまでだった。気がつくと、一張羅の着物に泥田の泥をつけ、羽織の紐や胸いっぱいに田芋やツワの葉をつけて、夜中に元の家へひょっくり戻っていた。妙に臭い茶を一杯飲んだというので翌日調べると、墓の花筒の水を飲んでいた。老爺はエンコウを侮蔑をこめて「こびんす」と呼んだ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。