川で死んだ子とイタコの口寄せ
どんな伝承か
青森県弘前市種市での話である。田中という家の中学三年の子どもが、昭和三十九年ごろの春先、宿題の写生に行くと言い残して家を出たまま戻らなかった。探すと近くの川にはまって死んでいた。人々はこれを河童に引かれたのだと言い合った。調査者が田中家を訪ねたのは、ちょうどイタコの口寄せを行う日だった。スイコに捕らえられた仏の霊がイタコに憑き、オシッコサマはこの村に七匹いる、お前が村の先に立って宮を建ててくれれば喜ぶし水神も人を取らなくなる、さもなければ三年のうちにまた人を取る、と告げたという。溺死の原因も、この先誰に水難が及ぶかも、イタコやカミサマの託宣によって知られるのだと記されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。