春日が伊勢に領分をせがみ
どんな伝承か
奈良県吉野郡高見村杉谷に伝わる境定めの話。昔、奈良の春日様が大和は狭いといって、隣国へ領分をせせりに行かれた。伊勢の大神宮に少しばかり下されと乞うと、以前から水分れが裁面としてあってこの上譲りようもないと言われたが、たっての願いで、出逢い裁面として境を付け直すことになった。春日様は鹿に乗って出られ、伊勢は神馬で駆けて来るからよほど早く立たねば負けると、夜の明けぬうちに出立されたので、かえって春日の方が先に伊勢境に入られた。三重県飯南郡宮前村のめづらし峠は、両者がちょうどこの峠の上で出会い、大神宮が「おや春日はん、珍しい」と声を掛けられた所だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男・日本放送協会・昭和25年刊)
柳田国男・日本放送協会編『日本伝説名彙』を全650話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。