淋しい池へ戻る茸狩り
どんな伝承か
柳田国男自身の幼い頃の経験である。彼の村は県道に沿った町筋で、近くにあるのはほんの丘陵であったが、西に川筋が通って奥在所は深く、狗賓の話の多い土地であった。七つの歳に頬冠りの男に抱えられて走られた事件から三四年の後、母と弟二人と茸狩に行ったことがある。遠くから常に見ている小山であったが、山の向こうの谷に暗い淋しい池があり、しばらくその岸へ下りて休んだ。夕日になってから再び茸をさがしながら、同じ山を越えて元登った方の山の口へ来たと思ったら、どう歩いたものか、また同じ淋しい池の岸へ戻って来てしまったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第4巻』を全822話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。