尾州小木村 産後発狂の山姥
どんな伝承か
天野信景の『鹽尻』に、尾州小木村の百姓の妻が産後に発狂して山に入り、十八年を経て後に一度戻って来た話が伝えられている。裸形で、ただ腰のまわりに草の葉をまとっていたという。この女はある猟人に逢って身の上を語った。飢えるままに初めは虫を捕って食べていたが、それでは足りぬので、後には狐や狸を見つけしだい引き裂いて食とし、次第に力がついて寒いとも物欲しいとも思わなくなったという。一旦は昔の家に還ってみたが、身内の者までが元の自分と知らず恐れて騒ぐので、詮方なく再び山中の生活に戻ってしまったと語った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第4巻』を全822話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。