土佐影野村の松に腰掛ける長髪の女
どんな伝承か
宝暦五年の秋、土佐高岡郡影野村の往還の路より十間ほど山に入った所の松の枝に、髪の長さ三間余りある婦人が腰を掛けていた。村の者が集まって見ると、そのまま飛び下り、行方知れず消え失せた。下は茅原であったが、分け入った跡も見えず、草の葉一つ損じていなかったという。田中勢左衛門の書中で宝暦六年正月に申し来たった。影野は相間氏の領知で、その家来和田彦左衛門に尋ねると、昔から折々村の者が見るもので、五六尺ほどの茅原を行くとき腰から上がなお六尺余も見えたという。多くは後姿か横顔を見ただけで、正面の顔を見た者はないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第4巻』を全822話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。