漁船を導いた高屋敷稲荷の白狐
どんな伝承か
郡山市舞木町に、霊験あらたかとされる高屋敷稲荷がある。昭和三十五年ごろ、いわきの漁港に所属する漁船が南方の洋上で操業していたところ、夕方になって突然の異常気象に襲われ、ともに漁をしていた僚船が沈むのを目のあたりにした。闇夜の激浪に舵も利かず、船長は最期を覚悟しながら神仏に祈った。そのとき前方の大波の上に高屋敷稲荷の白狐が現れて船を導き、船長は勇気づけられて波頭を越えて進み、明け方にようやく脱け出すことができたという。のちに船は稲荷丸と改名され、船主は神助への礼として国鉄舞木駅の東側に立派な鳥居を奉納した。
原典より
舞木町に高屋敷稲荷という霊験あらたかな稲荷様がある。—— 郡山の伝説(ふるさとの文化財調査事業・昭和六十一年(1986)刊/監修 大島建彦) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
郡山の伝説(ふるさとの文化財調査事業・昭和六十一年(1986)刊/監修 大島建彦)
福島県郡山市(旧安積郡・田村郡域、湖南・熱海・三穂田・逢瀬・西田・中田ほか各町)に伝わる伝説を、木/石・岩/水/塚/坂・峠・山/祠堂/家・村/祭礼・行事の八部門に分類して集成する。坂上田村麻呂や阿古陀媛・采女伝説・萩姫、源義家ら前九年の役の人物伝承、淵や池の主・龍神・河童、弘法大師の清水、稲荷・観音・地蔵の霊験、長者伝説や埋蔵金、隠れキリシタンなど、郡山の地に根ざした怪異・霊験・由来譚を伝承地つきで網羅する。