蝮の銀右衛門
どんな伝承か
昔、上野原の新町に里吉銀右衛門という百姓が住んでいた。気性のしっかりした働き者で、夏になると毎朝未明に家を出て、後山にある稲田の水を見に行った。ある朝、夜明け前の薄暗い谷間道を歩いていると、目の前に身の丈三メートル以上もある大入道が現れた。銀右衛門はこれをにらみ据え、平然と見回りを済ませて帰った。幾度かそんなことが続いた後、今度は白髪白髯の仙人が現れ「何もこわいものがないのか」と尋ねた。銀右衛門が「道でマムシにかまれることだけがこわい」と答えると、仙人はマムシの毒を消す秘法を授けた。その療法は不思議な効き目があり、遠方からも人が治療に訪れ、秘法は今も同家の家伝になっているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第5巻』所収の「文化叙事伝説」全104話(千葉・山梨・神奈川・埼玉・東京=関東甲信)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。