水無川
どんな伝承か
高田郡八千代町、まだ三田郷と呼んでいたころのこと。川沿いの農家で、中年すぎの主婦が真夏の昼下がりに機を織っていると、汚れた法衣に網代笠のみすぼらしい旅の僧が戸口に立ち、水をくれるよう頼んだ。主婦は聞こえないふりをして機を織り続け、何度も頼まれてやっと面倒そうに断わった。僧は「ああそうですか、水無ですか」といって、持っていた錫杖を川底に突き立てた。川水はゴーッと川底に吸い込まれ、川には一滴の水もなくなった。以来、洪水のとき以外はいつも水が枯れているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第10巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全85話(岡山・広島・山口=中国地方)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。