鬼の湯
どんな伝承か
吉備の大野で賊を平らげた吉備津彦命は、道々の賊を平らげながら竹荘の地へ進んだ。この地方には鬼どもが多く、食物を奪い女子供を捕らえて人々を苦しめていた。命は荒神山に陣を取って鬼を征伐したが、鬼もなかなか負けず、戦いは長く続いた。昼の戦いでずいぶん傷ついた鬼が、翌日には不思議にもすっかり元気になって戦うので、命がひそかに家来に探らせると、湯場の湯に入って傷を癒しては戦っていることが分かった。命は岩で刀を磨いて激しく戦ったが鬼は弱る気配がなく、大いに怒って神力で湯を封じてしまった。鬼はもはや敵することができず平定され、その時から新町の温泉は冷泉になった。命が刀を磨いた岩はトイシ岩といって今に残るという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第10巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全85話(岡山・広島・山口=中国地方)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。