海坊主
どんな伝承か
榛原郡御前崎町(現御前崎市)では、盆の十三日の夕方遅くまで海で漁をすると、きっと凶事があるという。昔、盆の十三日に漁に出た漁師たちが釣果を欲張るうちに日が暮れ、帰り支度をしていると、海の中から大きな黒いものがもっくりと現れた。髪を振り乱した大きな海坊主である。度胸のある船頭が大声で漕げと命じ、磯の灯を目当てに漕ぎ出すと、海坊主は抜手を切って泳ぎながら「柄長を借しよう」と船に取りついてきた。乗組の一人が柄長柄杓の底を打ち抜いて海へ投げ込むと、海坊主はそのまま消えた。底を抜かずに柄杓を渡せば、それで水を汲み込まれて船は沈められるという。語り手の祖母の祖父が若かった時代の事実と伝えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第7巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全97話(愛知・岐阜・長野・静岡=中部)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。