一夜で築いた鯨形の砂山
どんな伝承か
大むかし、十勝のアイヌの掠奪軍が日高のアイヌを次々に打ち破り、その勢いのまま様似の人びとにも攻めかかった。様似側は観音山、アイヌの名でソピラヌプリに陣地を構えて死力を尽くして防ぎ、さすがの十勝軍も攻めあぐねて、何日たっても勝負がつかなかった。やがて様似方に翳りが見えはじめると、彼らは山の背後のウンペツを渡り、向かいの山裾に一夜のうちに鯨の形をした砂山を築いて、そこに拠った。十勝軍はこれを見て、鯨は海の王だから弓を引くわけにはいかないと言い、無条件で和睦を申し入れたという。いまに残るホタフンペ、すなわち砂鯨はこうして生まれた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第1巻』所収の「文化叙事伝説」48話(北海道・青森)を収める。各話は伝承地を市町村〜字レベルまで明記し、例話・類話・文献を備える。