ナンドに出るナンドボウズ
どんな伝承か
古くは家のナンド(納戸)にナンドボウズがいると考えられ、子どもたちはひどく怖がった。九之坪・沖村・石橋・法成寺・弥勒寺・西之保などで聞かれる話である。弥勒寺では明治のころ土座造りの家が多く、板壁や板戸で仕切られたナンドは昼でも薄暗かった。台所は籾殻の上に莚を敷いただけで、ムジナが母屋に入り込むこともあった。ムジナや狸は坊主に化けるのが得意とされたので、暗いナンドに坊主が出ると言われれば子どもも信じたのだろうという。人目を避けてナンドに寝かされた病人をナンドボウズと呼んだともいう。
原典より
古くは、ナンドにはナンドボウズがいるとみられ、子供たちはことさらこれを怖れた(九之坪西辰己・西浦、沖村中ノ切、石橋、法成寺、弥勒寺、西之保西ノ切)。—— 西春町史 民俗編2――霊と神・祈禱・怪異(西春町(編)・西春町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
西春町史 民俗編2――霊と神・祈禱・怪異(西春町(編)・西春町史)
『西春町史 民俗編2――霊と神・祈禱・怪異』は、西春町の町史の民俗編である。九之坪・岡・沖村・石橋など町内の各ムラに残る御嶽山や塚、堂、小祠、石塔、家の神、祈禱師、祈願と参詣、霊威と祟り、狐や狸の怪異と憑きものを、聞き書きと『徇行記』や村絵図などの記録から記す。霊と神、祈願と参詣、霊威と怪異の三節に続けて、第十二章の伝説の節をムラごとの十八項に分けて並べ、最後の項の五条川の大蛇の目撃談で結ぶ。