上三川城の堀の片目の魚
どんな伝承か
真岡城主芳賀高武は、上三川城主今泉高光の一人娘に心を寄せ、たびたび縁組みを申し入れたが断られ続けた。姫が十八の春、高光は姫と思い合う家臣の布山源七を婿に決める。怒った高武は慶長二年五月二日の夜、騎馬隊を率いて上三川城を急襲し、城は炎に包まれた。姫は懐剣で喉を突きそこねて片目を刺しており、高光は姫を抱いて物見台から堀へ身を投げた。長い年月ののち、近くの村人がこの堀で魚を捕ると、どれも片目だった。以来、村人はこの堀の魚を捕らなくなったという。
原典より
ところが、捕えた魚という魚全部が片目でした。—— 真岡市史 第5巻(民俗編)――伝説・昔話(真岡市(編)・真岡市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
真岡市史 第5巻(民俗編)――伝説・昔話(真岡市(編)・真岡市史)
『真岡市史 第5巻(民俗編)――伝説・昔話』は、栃木県真岡市の市史民俗編から、第十四章「口頭伝承」の第一節「伝説・昔話」を収めたものである。大だら法師の足跡、釜淵の燈籠、大前堰の人柱、へび娘など、五行川・鬼怒川・小貝川の淵や沼、社寺にまつわる伝説と、タヌキやキツネに化かされた話を、既刊の民話集・伝説集と新たな採話から集める。冒頭に口頭伝承の参考文献を掲げ、各話の末尾に典拠を記し、結びの「まとめ」で話を河川・社寺・沼・動物の別に整理する。