釜淵から熊野権現へ届く竜宮の灯籠
どんな伝承か
飯貝の熊野神社は昔は熊野権現と呼ばれ、境内には杉や松の古木が茂っていた。神社の南の両国橋から四百メートルほど下った堰の上手は深くよどんで釜淵と呼ばれ、竜宮まで通じているといわれた。権現のお使いとされる大きな鯉や白ナマズがいて、誰も捕ろうとしなかった。旧暦七月十三日の迎え盆の夜には、淵の底がぼうっと明るくなって火の玉のような灯籠が浮かび上がり、五行川をさかのぼって権現のいちばん古い松の枝にひとりでに掛かったという。
原典より
そいつが五行川をぐいぐいさかのぼって、熊野権現のいちばん古い松の枝に、ひとりでにつるされたんだと。—— 真岡市史 第5巻(民俗編)――伝説・昔話(真岡市(編)・真岡市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
真岡市史 第5巻(民俗編)――伝説・昔話(真岡市(編)・真岡市史)
『真岡市史 第5巻(民俗編)――伝説・昔話』は、栃木県真岡市の市史民俗編から、第十四章「口頭伝承」の第一節「伝説・昔話」を収めたものである。大だら法師の足跡、釜淵の燈籠、大前堰の人柱、へび娘など、五行川・鬼怒川・小貝川の淵や沼、社寺にまつわる伝説と、タヌキやキツネに化かされた話を、既刊の民話集・伝説集と新たな採話から集める。冒頭に口頭伝承の参考文献を掲げ、各話の末尾に典拠を記し、結びの「まとめ」で話を河川・社寺・沼・動物の別に整理する。