月形の寺送りと本堂の鐘
どんな伝承か
群馬県甘楽郡南牧村のうち、東半分にあたる月形地区の諸部落には、寺送りと呼ぶ習俗が二十数年前まで盛んに残っていた。葬式を終えたあと、三角の袋に米一升を入れたものと、渋紙などに包んだ死者の衣類とを携えた者が菩提寺へ向かい、庫裡ではなく本堂へ直に上がって鐘を叩くのである。同じ南牧村でも奥地の旧尾沢村側では、出棺の前に墓穴のまわりを三度まわる穴廻りが伝わり、まわったあとの米や衣類を葬家へ持ち帰って寺へ届けるが、月形の側では穴廻りの話はまったく聞けなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・昭和(民俗学))
民俗学者・最上孝敬『霊魂の行方』。日本各地の葬送習俗を実地調査し、死者の霊魂がどこへ行きどう処理されるかを論じた葬送民俗研究の集成。