水晶の石で術を得たガマ仙人
どんな伝承か
白石市小原の下戸沢に、天狗さん、あるいはガマ仙人と呼ばれた人がいた。本名は片田源七、背丈五尺五寸と小柄で、いつも足駄に羽織袴だったが、眼と気合だけは並外れていた。もとは炭を背負う仕事をしていた。六十二の年、餅を背負って七ヶ宿の山奥へ戻ろうとしたとき、材木岩のあたりで腹をすかせた老人に出会い、自分は食べずに餅をそっくり与えた。老人は土下座して拝み、腹が減ったらなめよと水晶の石を渡した。山でその石をなめると体の具合がおかしくなり、くたくたになって帰ったが、寝て起きると術が使えるようになっていた。以来、足駄のまま柔らかい田を跡もつけずに渡り、煮え立つ油の釜に手を入れて銭を取ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県白石市下戸沢民俗調査報告書――伝説・怪異(民俗調査報告)
『宮城県白石市下戸沢民俗調査報告書』所収の伝説・怪異・口承文芸。奥州白石川沿いの下戸沢に伝わる怪異と信仰を採録する。