借りた旗を倍にして返す願かけ
どんな伝承か
無縁様の信仰は病や戦の祈願から受験の祈願へも広がった。いわき市の男性は昭和八年ごろ、旧制中学を受けるにあたって父に連れられて合格を祈り、いまは自分の子や知人の子にも参詣をすすめていて、三代にわたる信仰になっている。信者たちによって三十基あまりの石灯籠が奉納され、祈願を込めたお手拭がびっしりと垂れ下がる。願をかけるときには無縁様から祈願成就のお礼の旗を一枚借り、望みがかなえられたら借りた旗に一枚足して倍にして納める決まりだった。参るときには米の粉の団子をたくさんこしらえ、つつじ神様や周囲の石灯籠、石垣に団子と線香を供えるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
勝田市史 民俗編――小祠の信仰と流行神(勝田市(編)・勝田市史・自治体史(民俗))
『勝田市史 民俗編』第III章信仰生活所収の小祠の信仰と流行神。茨城県勝田市(現ひたちなか市)に伝わる民間信仰を採録する。