塚信仰(刀の出た塚)
どんな伝承か
西中根の海野ウメ家の土地にあった塚をめぐる信仰である。海野家が塚のある土地を開いて畑にしたところ、塚の夢を見たので掘ってみると、刀が出てきた。古墳とみられる。やがて、塚の石(石棺らしい)を削ったかけらをもらうと病が治るという噂が立ち、那珂湊の方から浜の舟乗りが大勢やって来て、カツオなどを携えてくる者も多かった。毎日、茶店などの店が出るほどだったという。流行は半年ほどで、時期は明治二〇年代とだけ伝わり、はっきりしない。那珂湊の漁民の信仰を集めた点は腹切り佐七と通じるが、いまでは覚えている老人も少ない。
原典より
この塚の岩(石棺らしい)を削って、断片を貰っていくと病気が治るという噂がたった。—— 勝田市史 民俗編――小祠の信仰と流行神(勝田市(編)・勝田市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
勝田市史 民俗編――小祠の信仰と流行神(勝田市(編)・勝田市史)
『勝田市史 民俗編――小祠の信仰と流行神』は、勝田市の市史の民俗編のうち、「信仰生活」の部の一部である。鎮守祭礼の移り変わりに続いて、屋敷神や同姓の家々で祀るウジガミと系図祭り、カマド神やエビス・大黒などの屋内の神々、病気や安産の祈願を集める小祠を、市域のムラでの調査と聞き取りによって記す。後半では流行神として上高場の六地蔵、腹切り佐七、塚信仰、東石川大島の無縁様を取り上げ、その由来と信仰の広がりをたどる。