狐に化かされた話
どんな伝承か
勝田では狐に化かされた話がいくつも語られる。よそからの帰り道、川などない所に川が現れ、深みだと騒ぎながら渡ったつもりが、実はソバ畑の中を歩いていたという。田植えの帰りに数人で提灯を下げて歩くと、前方にぼんやり明るいだけの灯が見え、年寄りが狐だと言い、予備のろうそくが無くなっていたのは四、五十年前のことだという。祝いの帰りに持っていた魚がソバ畑で消えた、うろうろするうち朝になった、演習場を通ると周りが海になり荷物が消えた、とも語られる。狐やムジナは提灯の底を抜いてろうそくを食べるとされた。
原典より
おばあさんが、めでたい時の帰り、魚を持って歩いていると、いつのまにかソバ畑の中に入り込んでいて、気が付いてみると魚がなくなっていた。—— 勝田の民俗――千葉県八千代市勝田(民俗調査報告 第8号・民俗調査報告) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
勝田の民俗――千葉県八千代市勝田(民俗調査報告 第8号・民俗調査報告)
『勝田の民俗――千葉県八千代市勝田』は、民俗調査報告の第8号として勝田の民俗を調べた報告書のうち、「VII 口承文芸」の部分である。昔話・伝説・世間話・なぞの四節に分け、狐女房と女化神社の由来が結びついた昔話、親が汲むと酒になる「子は清水」や佐倉惣五郎の伝説、狐やムジナに化かされた話、狐憑き、神隠し、カマイタチ、幽霊、力石などの世間話を、話者からの聞き書きで収める。多くの話に話者名と生年を添え、狐女房と「子は清水」には解説を付す。