風邪をもたらす妖怪と道切り
どんな伝承か
高橋敏弘は、風邪をひく原因は妖怪だという言い伝えが山形市内で昭和四十年ごろまで信じられていたと聞き書きし、すでに絶えたと思われるこの考えを今も抱く老人がいると記す。昔から夜は外へ出なかったのも、闇に妖怪がいて病を植えつけると考えたからで、科学がまだ行き渡っていなかったためだろうという。さらに、風の中には妖怪が渦を巻いて生きているから近寄ってはならないとも言い、路上に綱を張って呪物を吊るし、風を入れまいとした。いわゆる路切り、道切りである。こうした伝承は近年めっきり減ったと結ばれる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪異雑考(六) 地の果てから来る怪物についての伝承比較(西郊民俗・不明(昭和40年代の記述を含む))
本書は民俗学的視点から、世界各地に存在する地の果てからやってくる怪物・妖怪伝承を比較考察した論文集である。山形県を中心とした日本の伝承(デェデェポウ、ナマハゲ、トシドン、ヒバゴンなど)とイギリス・アイルランド・アメリカ・カナダ・中国・ニューギニアの同類伝承を対比し、地域や人種を超えた普遍的な特徴があることを指摘している。