狼の化け物
どんな伝承か
飛脚は前夜、狼の群れと戦って二十余匹を斬り伏せた。その最中に「佐喜の浜の鍛冶の母を呼うで来い」という怪しい言葉を聞いていた。朝になって野根村へ下り、定宿で昼飯を食いながら、佐喜の浜に鍛冶屋があるかと尋ねると、庄という鍛冶屋があり、老爺は死んだが老婆はまだぴんぴんしていて、息子の嫁をいじめる村の通り者だという。海岸を歩いて佐喜の浜へ向かう途中に会った若い漁師も「庄鍛冶の老婆は達者すぎて庄が困っておる」と笑った。飛脚は、鍛冶の母とは狼の化けた者ではないかと疑い、額の傷の有無を確かめようとした。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の怪談(二)(田中貢太郎・日本の怪談シリーズ・明治末~大正期(推定))