下奥富に伝わる天候と死の俗信
どんな伝承か
狭山市下奥富に伝わる俗信を、佐藤つるが語ってくれた。天気にまつわるものでは、蛇を横切ると空模様が崩れる、猫が耳の後ろから顔を撫でると雨になる、明日が雪だと雀までが食いだめをする、といった話がある。雷除けには軒先に鎌を押し立てておくとよく、雷鳴のときは桑の葉を頭に載せて「くわばら、くわばら」と唱えた。霊にかかわるものでは、人が死ぬと長虫、すなわち蛇に生まれ変わるといい、尻尾の詰まった短い蛇は人がなったものだとされた。烏がひどく騒ぐのは不幸の前触れとされ、同じ年の者が亡くなると、煎餅で両耳をふさいで辻へ捨てる耳ふさぎを行った。蛙は福の神だから粗末にするなとも戒められている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
狭山市史 民俗編(狭山市(狭山市史編さん室/民俗調査担当)・昭和(昭和五十年代調査・刊行。本文に昭和五十三〜五十四年の採集記載))
『狭山市史 民俗編』のうち「五 伝説・昔話・世間話」を収録した一次資料。昭和五十年代に堀兼・入間・奥富・柏原・水富・入間川の各地区で座談会・聞き取り調査を行い、明治〜大正生まれの古老から採集した口承文芸を、見出しごとに原文に近い形で記録する。