ずぶ濡れの軍服で帰った兄
どんな伝承か
御杖村の松島が語った話。兄は少佐で、乗った船が戦地で撃沈された。家の者が寺で拝んでもらうと、この人は生きているからいつか帰ってくると告げられたが、それはおそらく慰めだったのだろう。実際には、兄は戦死したその日に、軍服のままずぶ濡れの姿で家に立ち、ただいまと声をかけて帰ってきたのだという。死んでも魂は家へ帰ってくるものだ、と語り伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。