燧灘
どんな伝承か
尾池兼雄が十五、六歳の時に父から聞いた話。うたせで漁に出た夜は雨もようで風がなかった。仕事にならないので帰ろうと、伊吹島の方へ向けて走っていた。すると舳に明かりをさした船が一艘、前を走っている。その後についていったところ、伊吹島の北の端の三十三番の崖のところへ、どんと船が行ってしまった。帆を下ろし、竿で突っ張ってやっとそこをかわしたが、前の船の明かりも船も消えてしまった。前の船が消えたと同時に、崖が目の前に映って来たという。
原典より
大正の頃、積丹半島突端の漁村での話。—— 現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和〜平成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和〜平成)
松谷みよ子『現代民話考 ― 偽汽車』を小話単位で全525話収録。汽車・船・自動車などの乗り物にまつわる現代の民話・怪談を全国から採集。狐狸が汽車に化ける偽汽車、船幽霊、タクシーに乗る幽霊などを地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明359話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。