キューキューと泣いた栗山の楡
どんな伝承か
栗山に泣く木と呼ばれた楡があったが、道路に飲まれていまは影も形もない。樹齢三〇〇年を超す大木で、伐ろうとすれば鋸が折れ、斧が飛び、木びきが命を落とすといわれた。そしてこの楡は、キューキューと悲しげな声で泣いたという。道普請の折、土工や囚人は過酷な労役を強いられ、自ら死ぬ者、逃げ出す者が絶えず、死んだ者の亡骸はこの木のそばに埋められた。工事場に雇われた飯炊きの女も乱暴され、なぶりものにされて逃げることもできず、ついにこの楡で首を吊ったと伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)