池谷村・機織り娘の窓に来て飯を乞う異獣
どんな伝承か
『北越雪譜』に見える話である。池谷村に機織りの上手な娘がおり、問屋から名指しで縮を注文されていた。雪の消え残る窓の下で機を織っていると、窓の外に立つ者がある。猿のようだが顔は赤くなく、髪の毛が長く垂れ、人より大きな異獣が内を覗いていた。家の者は皆山稼ぎに出て娘一人だったので逃げようとしたが、腰を機に繋いでいて動けない。やがて異獣は竈の下に立ち、しきりに飯櫃を指して欲しがるので、飯を握って二つ三つ与えると嬉しげに持ち去った。その後も家に人のいない時は折々来て飯を乞い、ついに馴れて恐ろしいとも思わなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第4巻』を全822話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。