誕生寺の東南に立つ竜灯松
どんな伝承か
作陽誌の伝えるところによる。久米南町の誕生寺には竜灯松がある。寺の東南五十町ばかりの所にあり、弘治のころ神灯がたびたび見えた。住持の玉興が夜ごとにやってきて経を誦していたある夕べ、恍惚として空を見ると樹の上に灯が現れたので、弥陀の名号を十余遍唱えた。玉興が拝んでこれに和すると、灯はしばらくして静かに天へ昇っていった。後の人もときおり異様な光を見る者が多く、そこからこの松を竜灯松と名づけた。いまは竜松と呼ばれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。