所領を奪われた男が義経に仕えるまで
どんな伝承か
義経がめぐりあった男は、伊勢の生まれだと名乗った。父は河嶋二郎俊盛といい、勢州三重郡の河嶋に住んでいた。祖父の俊実が院の北面としてこの地を賜り代々領してきたが、男が四歳の年に父が病死し、母だけになったところを伊勢守景綱に押領された。訴えても取り合われず、母子は所領を追われる。十七の年、男は河嶋へ戻って景綱の代官を夜討ちにし、鈴鹿山の麓で景綱を待ち伏せたが、大勢に取り囲まれて捕えられ、遠国へ流されて六年を過ごした。素性を明かした義経に従うことを誓い、義の字を賜って義盛と名乗ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。