焼け残った家と閑居様の「龍」の一字
どんな伝承か
仙北郡の商人が赤田村の茂吉の家に泊まり、大仏様に参詣した。火除けの掛物をいただきたいと閑居様に願うと、それは長谷寺三世の順芳和尚に書かせようと言われた。商人は一字でよいから直筆をと食い下がり、閑居様みずから龍の一文字を書いてくれた。その晩、商人は娘の家に泊まったが、夜半に隣家から火が出た。両隣は焼け落ちたのに、娘の家だけは焼け残る。役人が厳しく調べても不審な点はない。商人が荷の中に是山和尚の火防の文字があると告げると、人びとは得心した。閑居様の名は、これによって四方へ響いたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第2巻』所収の「文化叙事伝説」64話(岩手・宮城・秋田)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。