十勝岳と雌阿寒岳の別れと硫黄
どんな伝承か
十勝のアイヌで、十勝岳に酒を上げない者はいないという。ポロシリ、すなわち大山とも親山とも呼ばれるこの男神の山は、昔、女神の山である雌阿寒と仲むつまじい夫婦であった。ところが何がもとか夫婦げんかとなり、雌阿寒が怒って出て行ってしまう。その薄情に腹を立てた十勝岳は、傍らの槍を取って背を向けた妻に投げつけた。傷ついた雌阿寒は血を流しながら釧路へ去り、その血の跡には点々と萱が生え、傷の膿が硫黄になったという。仲裁に出た音更の山は間に合わず、原の真ん中で立ち尽くしてしまったので、ヌプカウシヌプリと呼ばれるようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第1巻』所収の「文化叙事伝説」48話(北海道・青森)を収める。各話は伝承地を市町村〜字レベルまで明記し、例話・類話・文献を備える。