砦址に残る疱瘡の翁の話
どんな伝承か
白老のオソロコチの崖の上には、チャシコツと呼ばれる砦の址があり、土地ではカムイエカシ・チャシといった。カムイエカシとは、かつてポンアヨロにあった部落の先祖の偉い翁のことである。あるとき釧路のアイヌが本土へ交易に渡り、帰りの船中で疱瘡にかかった者が出た。それを隠したままポンアヨロへ立ち寄り、膿のついた食器を置いて去ったため、部落の人びとはみな疱瘡で死んだ。最後に残った翁も立てなくなり、坐ったまま小便をした。それまで女も立って用を足していたが、以来おそれ多いといって、かがむようになったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第1巻』所収の「文化叙事伝説」48話(北海道・青森)を収める。各話は伝承地を市町村〜字レベルまで明記し、例話・類話・文献を備える。