箸を供えて歯痛を鎮める歯塚
どんな伝承か
長泉寺町の歯塚は箸塚とも呼ばれ、歯の痛みを止める仏として信仰を集め、日ごろ使う箸を供えて香花を手向ける参詣者が絶えない。堂宇は一坪あまりの小さなものである。天正年間、織田信長の北陸平定と一向一揆の乱で長泉寺三十六坊はほとんど焼け、僧も住民も散り散りになった。乱の後、村人は焼け残った仏書経典を拾い集めて埋め、高くなった場所に経塚の標柱を立て、のちに石の柱へ改めた。慶安年中、歯の痛みに耐えかねた村人が使い古しの箸を供えて祈ったところ、痛みが嘘のようにおさまった。人々はその霊験に感じて歯塚大権現と崇め、寛永年間に有志が塚の上へ小さな堂を建てたという。
原典より
歯塚は箸塚ともいい、歯の痛みを止める仏として信仰され、毎日使用している箸を供え、香花を手向けて参詣する人が絶えないという。—— 鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史・自治体史(民俗)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史・自治体史(民俗))
福井県鯖江市の地名にまつわる口承を、自然物(樹木)・岩石・山谷坂・池泉川・家屋敷・神社寺院祠堂・人物事件・霊異妖怪のカテゴリ別に網羅する。樹木では矢留めの一本杉、観音様の大杉、鐘鋳りの松、三峯の大いちょう、てんぐ松、柿の木と膳椀(膳椀貸し)、三度グリなど。