乳の出を授けた三峯の大いちょう
どんな伝承か
三峯の集落は絶えて昔の面影を失ったが、かつて氏神が鎮座した跡には、幹回りが七、八メートルにもなる大いちょうがいまも立っている。旧麻生津村の三十八社で泰澄大師が生まれたとき、母は乳が出ずに苦しみ、神仏に願をかけた。満願の日の夢に神が現れ、三峯の神社の境内にいちょうの大木があるから、神に断って皮をもらい、煎じて飲めと告げたという。母がそのとおりにすると、たちどころに乳が出た。三峯から人が住まなくなった後も、この木の皮を求めて訪ねてくる者があるという。
原典より
三峯の部落は、すっかりなくなって昔の面影はないが、かつての氏神の境内には、今もなお、回りが七、八メートルもある大いちょうが健在である。—— 鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史・自治体史(民俗)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史・自治体史(民俗))
福井県鯖江市の地名にまつわる口承を、自然物(樹木)・岩石・山谷坂・池泉川・家屋敷・神社寺院祠堂・人物事件・霊異妖怪のカテゴリ別に網羅する。樹木では矢留めの一本杉、観音様の大杉、鐘鋳りの松、三峯の大いちょう、てんぐ松、柿の木と膳椀(膳椀貸し)、三度グリなど。