麝香猫が香らせた池と香川の名
どんな伝承か
香川には中尾と呼ばれる所があり、昔そこに中尾長者という長者が住んでいた。長者は釣りが好きで、たびたび間門まで出かけたという。そばにはナットバコという池があり、いまも茅の生えた窪地として残っていて、そこから湧く水は小出川まで流れている。長者は麝香猫を飼っており、その猫がよく池へ来て水を飲んだので、水に麝香の香りが移り、香る水が間門まで流れていった。これが香川という地名の起こりだという。昔は香河と書いていたが、この話から香の川という字に変わったとも語られている。
原典より
長者は麝香猫を飼っててねえ、その猫が池へよく遊びにくるんだね。—— 茅ケ崎市史 3 考古・民俗編(茅ケ崎市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
茅ケ崎市史 3 考古・民俗編(茅ケ崎市史)
『茅ケ崎市史 3 考古・民俗編』は、神奈川県茅ヶ崎市の市史の考古・民俗編のうち、第七章「伝説と俗信」第一節「伝説」の初めの部分である。今宿の旗たての松、のどの病に効くという芹沢のぎゃーぎばあさん、寒川神社の浜降祭の縁起、南湖のやせ地蔵、下寺尾の七堂伽藍と沈んだ鐘、小和田の涙橋などの伝説を収める。社寺堂縁起と地名のいわれの項に分け、明治生まれの話者の名と地区を添えた聞き書きに、『茅ヶ崎郷土史』などの文献からの引用を交える。