化物沢の魔物と白羽の矢
どんな伝承か
市の西方、お成山に上人林と呼ばれる場所があり、明快上人が入寂した地と伝えられる。かつてここには魔物が棲むといわれ、化物沢の名でも呼ばれた。魔物は毎年、人身御供を求めたという。その年、白羽の矢が立ったのは七兵衛の家の屋根であった。娘の美しさは城下にまで聞こえ、七兵衛は目に入れても痛くないほど可愛がっていた。思案の末、娘を城下の知り合いへ預けた。ところが送って行った七兵衛は行方が知れず、三日後に気が狂って家の近くをうろついていた。娘もそれを知って病み、死んだと伝わる。のちに訪れた明快上人は、人に仇をなす神があるはずはない、魔物の仕業だとして林に入り、護摩壇を築いて祈祷し、魔物を近くの井戸へ封じた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
米沢市史 民俗編――伝説(米沢市(編)・米沢市史・自治体史(民俗))
『米沢市史 民俗編』第八章口承文芸所収の伝説。山形県米沢市に伝わる鳥獣草木・山川湖沼・地蔵社寺の伝説を採録する。